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「自分がやりたいことと、会社でやることは違う」—30代で体を壊した大企業社員が、品質保証のプロとして起業するまで


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「会社の仕事は大変で疲れる」


某大手光学機器メーカーで働いていた吉田貴洋さんは、30歳を前に体を壊しました。激務の日々の中で、ふと立ち止まった時に感じたのは、単なる疲労ではなく、もっと深い「もやもや」でした。

自分の仕事は好きだった。会社も無条件に好きだった。でも—。

社外との出会いが変えた「意味付け」

体調を崩したことをきっかけに、吉田さんは社外の人と交流するようになりました。すると、それまで当たり前だと思っていた景色が、まったく違って見えてきたのです。

「会社にいて何かやるというのと、自分でやるっていうのって違うんだなと感じ始めた」

自分の持ち場でクローズすることが多い会社の中で、吉田さんは気づきました。「ここにあったものは、もしかしたらこっちの人がほしいかもしれない。そういう新しいつながり方があり得るんじゃないか」と。

zenschoolとの出会い、そして決断

2014年、吉田さんはzenschool(当時はマイクロモノづくり経営革新講座)の7期生として参加しました。10日間のプログラムでは、映像関係の製品を発表。その時の同期の半数は、後に起業しています。

「自分が一番アイデアを出したのが早かったような記憶がありますが、動き出すのが一番遅かった」と笑う吉田さん。でも、その後の彼の行動は驚くほど迅速でした。

2017年4月、芝浦工業大学の大学院でMOT(技術経営)を学び始めた吉田さんは、わずか1ヶ月後の5月に退職届を提出。7月末に正式退職し、翌2018年1月の法人設立を見据えて動き出していました。

「品質保証」という武器で、メイカーズの課題を解決する

吉田さんが立ち上げようとしている株式会社コルプ(QuaLP)のビジネスは、一言で言えば「IoTベンチャー向けの品質保証体系の構築支援」。

多くのメイカーズが、試作品を量産する段階で転んでいます。中国の工場に持っていっても、品質が上がらない。要件定義ができていない。ハードウェアとソフトウェアの橋渡しができる人がいない—。

「ハードウェアもソフトウェアもシステムも、その橋渡しができればいい。技術的な話そのものはできないけれど、その橋渡しはできる」

大手光学機器メーカーで培った品質保証の知見と、写真・映像というクリエイティブな感性を併せ持つ吉田さんだからこそ提供できる、独自の価値がそこにありました。

「日本全体が一つの工場になる」未来へ

インタビューの最後、吉田さんは自身のビジョンを語りました。

「誰かが『こんなのほしい』って言ったら、『じゃあこうやったらできるよ』というアイデアと、『その日だったらうちの機械が空いてるよ』って言ってくれる工場と、組立場所を貸してくれる人と、置いてくれるお店が—そういう風に組み替え自由になったら、日本全体が一つの工場になれる」

それは、金銭取引だけではない、共通のマインドセットに基づく新しいモノづくりのプラットフォームの形。吉田さんの探求は、まだ始まったばかりでした。

この物語の続き

大企業での葛藤から起業へ—吉田貴洋さんの探求の旅の全編は、noteでお読みいただけます。品質保証という視点から見たメイカーズムーブメントの課題、大企業とマイクロモノづくりの違い、そして「オープンイノベーション」の本質まで。より深い対話の記録を、ぜひご覧ください。

📖 全文記事を読む: https://note.mu/zenschool/n/n29a61121c2ab


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