「もやもやしてた」——20年間のネット事業で迷子になった経営者の再発見
- 三木康司

- 8月1日
- 読了時間: 3分

「ちょっと飽きてきたのもあるんですけど」
株式会社創の代表取締役、村上肇さんがそう口にした時、20年という歳月の重みを感じました。1997年、まだ誰もが「磁石がネットで売れる」なんて思わなかった時代。村上さんは町工場の一介のサラリーマンとして、手探りでホームページを立ち上げました。
たった3年で会社の売上を2.5倍に押し上げ、その後独立。製造業向けのWebコンサルティングとして1,080回を超える講演を重ね、多くの企業を成功に導いてきた村上さん。しかし2017年、彼の心には別の感情が芽生えていました。
「もやもやしてるところもここ1、2年あったので」
20年間も第一線で走り続けてきた専門家が、なぜ迷いを感じていたのでしょうか。
競争疲れの時代に気づいた「戦わなくていい」という真実
村上さんのもやもやの正体は、ネットマーケティング業界の変化への違和感でした。SEO競争が激化し、検索順位を上げることばかりに躍起になる風潮。「そんなことしなくても、自分に合うお客さん、自分が喜ばれる市場っていうのは見えないけどあるから」——そう信じてきた彼にとって、競争一辺倒の流れは本来のネットの可能性を狭めるものでした。
そんな時、SNSの普及が新しい可能性を示します。シェアによって広がる情報、つながりによって生まれる信頼関係。「戦わなくてもいい」ビジネスのあり方が、より鮮明に見えてきたのです。
zenschoolで蘇った10歳の夏休み
転機は東京・水天宮の白い部屋で訪れました。zenschoolのワクワク・トレジャーハンティングで、村上さんに劇的な変化が起こります。
「10歳の夏休みの感情とか体験が湧いてきて、今何で自分はもやもやしてたのかとか、ネットで20年やってきたのはどういうことだったのかとか全部つながって」
その瞬間、彼のワクワクが明確になりました。それは**「道を拓く」**こと。新しいことをやりたがる、行動まで伴ってしまう——そんな自分の本質を再発見したのです。
「それが一番のワクワクなんだということに気づかせてもらって」と語る村上さんの表情は、まさに少年のように輝いていました。
「無敵経」という新しい道筋
zenschool受講から数ヶ月後、村上さんは新しいコンセプトを生み出しました。それが**「無敵経」**——他者と比べない、争わない、戦わないという教えです。
「『無敵』という考え方をもっと広めたら、もう空気のようになったインターネットの時代、SNSの時代に商売も人間関係も全てうまくいくんではないかと思って」
この新しい方向性は、すぐに現実の変化をもたらしました。講演依頼が増え、会社の業績も改善。何より、村上さん自身の意識が大きく変わったのです。以前は新商品開発に否定的だった彼が、「本当にやりたいことだったらやらせてあげれば」と、あらゆることを肯定的に受け入れるようになったのです。
経営者が吹っ切れると、現実が変わる
「自分がもやもやしてたらいけないですね」——村上さんは振り返ります。意識の変化が業績向上に直結したことに、彼自身も驚いていました。
2017年のインタビュー時点で、村上さんは確信していました。これからの時代は「無敵」の在り方が広がるべきだと。特に中小企業の経営者には、競争ではなく、自分らしい価値を伝えることの大切さを伝えていきたいと語っていました。
もしあなたも今、何かにもやもやを感じているなら——。村上さんの物語は、決して特別なことではないかもしれません。自分の本質に立ち戻る勇気さえあれば、新しい道は必ず開けるのですから。
この物語の続き、村上肇さんの探求の旅の全編はnoteでご覧いただけます→ 「他者と比べない、争わない、戦わないという『無敵経』の教えを拡める」株式会社創 代表取締役 村上肇さん(2017/09/22対談)
















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