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創設者・三木康司が歩んだ「トゥルー・イノベーション®」への道

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はじめに:あなたの内なる声に、耳を澄ませていますか?

zenschool創設者、三木康司。彼の歩みは、zenschoolが大切にする哲学そのものです。

 

リーダーとして、あるいは専門家として社会的な成功を収めている。けれど、心のどこかで「何かが足りない」「本当にやりたいことは、これなのだろうか?」——そんな言葉にならない「もやもや」を感じていませんか? 1 それは、あなただけが抱える特別な悩みではありません。三木自身もかつて、その感覚を深く経験した一人でした。

 

このストーリーでは、三木康司が歩んできた道のり——輝かしいキャリア、予期せぬ転機と危機、坐禅との出会いによる自己発見、そしてzenschool創設へ——を辿ります。彼の個人的な変容の物語こそが、zenschool独自のメソッド「トゥルー・イノベーション®」の源泉であり、卒業生たちが自らの「生きがい」を見出し、心からの成功を掴むための確かな羅針盤となっているのです 1

三木康司の物語は、zenschoolの物語そのもの。そして、あなたの物語へと繋がっていくかもしれません。

第1章:成功の光と影 - キャリアの頂点と予期せぬ転機

zenschoolがなぜ生まれたのか。その背景には、創設者・三木康司が経験した、光と影がありました。

輝かしいキャリア、そして内なる問い:

明治学院大学卒業後、大手IT企業・富士通でのキャリアから始まり、慶應義塾大学大学院での学び、そしてあるITベンチャー企業の役員へ。彼の経歴は、知性と行動力で道を切り拓いてきた、まさに「成功」と呼ぶにふさわしいものでした。常に高みを目指し、知識と経験を積み重ねていく——それは、多くの人が目指す理想的なキャリアパスに見えたかもしれません。

突然の転機:「リストラ」という名の断絶:

しかし、順風満帆に見えた道は、2009年に突然途絶えます。役員を務めたITベンチャーの事業悪化に伴う「リストラ」。それは単なる失職ではなく、彼の心を深く揺さぶる出来事でした。

 

築き上げてきたキャリア、地位、そしてそれらに基づく自信やプライド。それらが一瞬にして崩れ去る経験は、「ショック」であり、「心のバランスを崩す」ほどの精神的な打撃となりました。外的な成功によって支えられていたものが、いかに脆いものであったか。この痛みを伴う経験こそが、彼を既存の成功法則とは異なる、より本質的な人生や仕事のあり方へと目を向けさせる、大きな転換点となったのです。

表:三木康司:転機以前の主な経緯

​​​​​このキャリアの断絶があったからこそ、彼は内面へと深く潜り、次章で触れる「坐禅」との出会いを経て、人生の新たな扉を開くことになります。

第2章:静寂との出会い - 坐禅が拓いた新たな道

キャリアの頂点からの転落。深い喪失感と混乱の中にいた三木康司を、再生へと導いたのは「坐禅」との出会いでした。それは、単なる癒しではなく、自己の内面と深く向き合い、新たな創造性の源泉を発見するための、静かな、しかし力強い実践の始まりでした。

内なる静けさを求めて:

リストラの「ショックから立ち直るため」、あるいは「心のバランスを崩す経験を経て」、三木は自宅で「毎朝の坐禅を開始」します。外の世界で積み上げてきたものが崩れたとき、彼は答えを自身の内側に求めました。それは、外的な評価や達成感を手放し、自分自身の内にある、揺るぎない何かを探す旅の始まりでした。

坐禅がもたらした光:癒しとインスピレーション:

坐禅は、三木に二つの大きな変化をもたらしました。一つは、傷ついた心の「ケア」、つまり精神的な回復です。

静かに坐り、呼吸に意識を向ける中で、思考や感情の嵐に巻き込まれることなく、自分自身を穏やかに見つめる視点を取り戻していきました。

そしてもう一つ、非常に重要な変化は、坐禅が「新事業のアイディアを着想」するきっかけとなったことです。心のノイズが静まり、表面的な思考から解放されたとき、奥深くから本質的な気づきやアイデアが湧き上がってきたのです。坐禅は、彼にとって精神的な癒しであると同時に、新たな価値を生み出すための創造的なエンジンとなりました。

この個人的な体験こそが、後にzenschoolのプログラムの核となるマインドフルネス(坐禅を含む)の実践や、内なる声に耳を澄ますことの重要性へと繋がっていきます 1

探求の深化:Zen2.0へ:

三木の禅やマインドフルネスへの関心は、個人的な実践に留まらず、さらに広がっていきます。彼は後に、禅とマインドフルネスに関する日本最大級の国際カンファレンス「Zen2.0」を共同で立ち上げ、代表理事を務めることになります。自身の人生を変えた智慧を、より広く社会と分かち合いたいという情熱の表れです。

危機の中で見出した坐禅の力。それは、三木にとって自己再生の鍵であると同時に、他者の変革を支援するための、独自のイノベーション手法を生み出すための、揺るぎない土台となったのです。

第3章:内なる声に従って - enmonoとzenschoolの誕生

坐禅を通じて心の平穏を取り戻し、新たな事業へのインスピレーションを得た三木康司は、その内なる発見を具体的な形にするため、次の一歩を踏み出します。それが、株式会社enmonoの設立と、その核心事業となるzenschoolの開講でした。これは、彼自身の再生プロセスを、他の人々のためにも役立つ方法論へと昇華させる挑戦でした。

新たな始まり:株式会社enmono設立 (2009年):

リストラを経験したまさにその年、三木は宇都宮茂氏(現zenschool共同ファシリテーター)と共に株式会社enmonoを設立します。当初は、これまでの経験を活かし、中小製造業の革新、特に「マイクロモノづくり」と呼ばれる小規模ながら独自の価値を持つ製品開発の支援からスタートしました。

zenschool開講 (2011年):内なる変革を、すべての人へ:

enmono設立から2年後、三木は「中小企業向けイノベータースクール」としてzenschoolを開始します。特筆すべきは、このスクールが、三木自身の体験そのものに基づいていた点です。「自身の心のケアと新事業のアイディアを坐禅を通して着想した経験をもとに、マインドフルネスを活用したイノベーション経営手法『zenschool』の提供開始」とあるように、zenschoolは、彼が個人的な危機を乗り越え、新たな道を切り拓いたプロセス——マインドフルネス(坐禅)による内省と、そこから生まれる本当にやりたいこと(本質的な事業アイデア)の発見——を、体系化し、誰もが実践できるようにデザインされた場なのです。

核心にある哲学「トゥルー・イノベーション®」:

zenschoolの中心にあるのが「トゥルー・イノベーション®」という考え方です 1。これは、市場調査や競合分析といった外部の情報から出発する従来のイノベーションとは異なります。トゥルー・イノベーション®は、マインドフルネスの実践や「禅的対話」と呼ばれる深い内省と対話を通じて、あなた自身の内側にある「本当にやりたいこと」、すなわち「生きがい(IKIGAI)」1 や情熱を発見し、それを起点として新しい価値(製品、サービス、事業、あるいは生き方そのもの)を創造していくプロセスです。

これは、まさに三木自身の体験——外的な成功の崩壊(リストラ)をきっかけに内面(坐禅)に向き合い、そこから真に望む方向性(enmono/zenschoolの創設)を見出した——そのものです。彼の著書『「禅的」対話で社員の意識を変えた トゥルー・イノベーション』は、この哲学をさらに深め、社会に問いかける試みと言えるでしょう。

zenschoolとその核となるトゥルー・イノベーション®は、創設者・三木康司自身の、深くパーソナルな危機と再生の物語から生まれました。それは机上の空論ではなく、実体験に裏打ちされた生きた知恵。だからこそ、同じような課題や「もやもや」を抱える人々の心に深く響き、具体的な変革を後押しする力を持っているのです

第4章:あなたの物語が始まる場所 - zenschoolが変革を生む仕組み

なぜzenschoolは、多くの卒業生に劇的な変化をもたらし、彼らを心からの目的へと導くことができるのでしょうか? その秘密は、創設者・三木康司自身の変革の物語が、zenschoolのプログラム設計と卒業生の体験の中に、いわば「設計図」として息づいているからです。

三木康司の旅路(変革の原型):

  1. 従来の成功と限界: 外的な成功指標を追い求めるキャリア。

  2. 危機と断絶: 予期せぬ出来事による基盤の崩壊と精神的危機。

  3. 内面への転換: 坐禅を通じた自己探求の開始。

  4. 自己発見と着想: 内なる声に気づき、本当にやりたいこと(新たな道)を発見。

  5. 創造と具現化: 内なる発見に基づき、新たな価値(enmono/zenschool)を創造。

 

zenschool卒業生の旅路(あなたの可能性):

zenschool卒業生のストーリーを見ると、多くの人が同様の変革を体験しています。

  1. 現状への問い: 成功していても、どこか満たされない。「もやもや」1 や「本当にやりたいことは?」という問い。

  2. 触媒としてのzenschool: プログラムへの参加が、変化のきっかけとなる特別な「場(Ba)」1 への入り口。

  3. 内面の変容プロセス:

    • 心理的安全性の高い「場」: 鎌倉・材木座の自然の中 1、安心して本音で語り合える環境。

    • マインドフルネスの実践: 坐禅や「歩く瞑想」を通じて、「今ここ」に繋がり、思考の癖に気づく 1

    • 「禅的対話」とトゥルー・イノベーション®: ファシリテーターや仲間との深い対話から、「本当に自分がワクワクすること」や「心から自分のやりたいこと」を発見し、言語化する。

    • コミュニティの力: 同じ志を持つ仲間や、220名を超える卒業生コミュニティからの支え。

  4. 本質的な行動と成功: 内なる「生きがい」に基づき、具体的な行動へ。起業、新規事業、キャリア転換など、形は様々でも、自身の本質と深く結びついた挑戦が始まる。SkyDrive社の「空飛ぶクルマ」、Zen Eatingのグローバルなウェルネス事業、ダイモン社の月面探査ローバー「YAOKI」 など、数々のユニークな成功が生まれています。

結論:誰もが持つ、変革の可能性

zenschool卒業生の変革プロセスは、創設者・三木康司自身の再生プロセスと深く響き合っています。

 

zenschoolは、単に知識を学ぶ場ではありません。創設者が自ら歩み、その力を証明した「危機 → 内省 → 自己発見 → 創造」という変革のブループリントを、誰もが追体験できるようデザインされた、いわば「変革のための錬金術の場」なのです 1

三木康司の物語は、zenschoolが提供する価値の根幹であり、再現可能なフレームワークです。卒業生たちの輝きは、あなたの中にも眠る変革の可能性を、力強く示しているのです。

第5章:進化し続ける探求 - メタバースへの挑戦と未来

三木康司のイノベーションへの探求は、zenschoolの創設で終わりません。彼自身の変革の旅から生まれた「トゥルー・イノベーション®」の精神は、zenschool自体の進化にも活かされています。その一つが、メタバースへの挑戦です。

変化の中で、本質を問い続ける:メタバースzenschool

新型コロナウイルスの影響は、対面での濃密な対話を大切にしてきたzenschoolにとって大きな試練でした。オンラインツールだけでは、従来の深い繋がりや心理的安全性を再現するのは難しい。

この課題に対し、三木は新たな可能性を探ります。それが、メタバース空間を活用した「zenschoolメタバース」の試みでした。これは単なる技術トレンドへの追随ではありません。パンデミックという制約の中で、zenschoolの核である「緊密な空間での対話」や深い繋がりを、いかに維持・発展させるか?という問いへの創造的な答えでした。メタバースという新しい「場(Ba)」1 を通じて、オンラインでも存在感を感じ、深いコミュニケーションや共創体験を目指したのです。

禅とテクノロジーの交差点:

三木の活動は、禅やマインドフルネスといった古来の叡智と、メタバースのような最先端技術を結びつける点でもユニークです。メタバース空間に「メタバース禅堂」を作り、僧侶でありヒューマンビートボクサーでもある赤坂陽月氏のライブイベントを開催するなど 、伝統と革新の融合による新しい体験価値を探求しています。これは、鎌倉を「禅とITの融合したマインドフル・シティ」にしたいという彼のビジョンとも繋がっています。

流れ続ける川のように:進化するトゥルー・イノベーション®

メタバースへの展開は、「トゥルー・イノベーション®」が固定的なものではなく、変化する状況の中で本質的な価値を追求し続ける、ダイナミックなプロセスであることを示しています。外部環境の変化に対応しながらも、その核となる哲学(内なる探求、深い対話、本質的な価値創造)は揺るがない。むしろ、新たなツールを活用することで、その哲学をさらに深め、より多くの人に届けようとしています。

創設者・三木康司自身の歩みがそうであったように、zenschoolもまた、時代の流れの中で常に自己変革を続け、その核心にある価値を進化させ続けています。それは、流れ続ける川のように、絶えず動きながらもその本質を失わない、生きたイノベーションの実践そのものなのです。

結論:あなた自身の「トゥルー・イノベーション®」を、今、灯すために

zenschool創設者、三木康司の物語。それは、一人の起業家の成功ストーリーというだけではありません。

外的な成功だけでは満たされない現代人が抱える渇望。予期せぬ危機を乗り越え、自己の内なる声に従って、本当に意味のある価値を創造するための、普遍的な旅の記録です。

キャリアの転機、精神的な危機、そして坐禅との出会い。そのすべてが、彼の内なる「生きがい」を発見し、それを「トゥルー・イノベーション®」という独自の哲学へと昇華させるための、かけがえのないプロセスでした。そしてzenschoolは、その個人的な変革の設計図を、誰もが追体験できるよう、丁寧に創り上げられた「場」として生まれました。

心理的安全性の高い空間、マインドフルネスの実践、深い対話、そしてコミュニティの力。これらを通じて、zenschoolは、あなたが自身の内なる「もやもや」1 と向き合い、それを創造のエネルギーへと転換するお手伝いをします。空飛ぶクルマ、グローバルなウェルネス、月面探査ローバー… 卒業生たちの目覚ましい活躍 は、三木康司が歩んだ道が、あなたにとっても力強い変革をもたらす可能性を秘めていることの、何よりの証明です。

もし今、あなたがキャリアの停滞感や、言葉にならない満たされなさを感じているなら。

もし、もっと自分自身の本質から湧き出るような何かを生み出したいと願っているなら。

それは、あなた自身の「トゥルー・イノベーション®」への扉が、開かれようとしているサインなのかもしれません。

三木康司の物語と、彼が創り上げたzenschoolという「場」は、その扉を開けるための鍵となるでしょう。あなたの中に眠る、まだ見ぬ可能性と創造性を解き放ち、真に意味のある変化を生み出す旅へ。

その一歩を踏み出すための羅針盤が、ここにあります。

共同創設者・宇都宮茂:あなたの内なる情熱を、現実のカタチへと築き上げるエンジニア

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1. 夢をかたちにする「手」:情熱と現実をつなぐ存在

素晴らしいアイデアや、心の奥底から湧き上がる情熱。しかし、それを現実の製品やサービスとして世に送り出すまでには、見えないけれど大きな隔たりが存在します。zenschoolにおいて、このギャップを埋め、共同創業者である三木康司氏が導く内なる探求の旅路に、確かな「かたち」を与える人物がいます。それが、技術担当取締役(CTO)を務める宇都宮茂です。彼は単なる共同創業者ではなく、zenschoolが掲げる「True Innovation®」を、机上の空論ではなく、触れることのできる現実へと昇華させる、いわば技術的な心臓部なのです。

宇都宮の歩みは、三木のそれとは対照的に、長年にわたる製造業の現場で培われた深い実践知に根差しています。彼の物語は、モノづくりの最前線で磨かれた知恵が、人間の持つ無限の可能性と出会い、融合していく軌跡そのものです。彼こそが、zenschoolの哲学に不可欠な、地に足のついた実行力を与える存在と言えるでしょう。内なる探求から生まれた「True Innovation®」も、それを具現化する宇都宮氏の専門知識がなければ、抽象的な概念に留まってしまうかもしれません。彼は、zenschoolの精神を具体的な創造へと結びつける、まさに実践の体現者なのです 5。株式会社enmonoの設立は、この二人の共有されたビジョンを実現するための器となりました。

2. 製造業の現場で鍛えられた知恵:エンジニアとしての半生

宇都宮氏のモノづくりへの深い洞察は、一朝一夕に得られたものではありません。その礎は、同志社大学工学部卒業後、大手輸送機器メーカーであるスズキ株式会社で過ごした18年間にあります。ここで彼は「生産技術職」として、多様な経験を積みました。量産工場の生産技術から始まり、製品のコストを企画段階で練り上げる原価企画、さらには試作品を生み出す工場の生産技術、そしてモノづくりの根幹を支える金型部門での生産技術まで、幅広く担当しました。一点ものの試作から大量生産まで、製品が生まれる前のコスト企画から実際の製造ライン構築まで、モノづくりのあらゆる段階に関わり、アイデアを具体的な製品へと落とし込むための実践的な知見と経験を、ここで深く培ったのです。

しかし、順風満帆に見えたキャリアにも転機が訪れます。金型部門での上司との関係性におけるストレスや、過度の管理(マイクロマネジメント)に疲弊し、心身に変調をきたす経験をしました。「自分は何のために生きているのか?」——半年ほど自問自答を重ねた末、彼は新たな道を模索し始めます。

そして、彼は舞台を移し、**地元浜松の試作メーカー(町工場)**で「生産技術課長職」として2年間を過ごします 。大企業での量産とは異なり、ここでは一点ものや小ロット生産特有の課題に直面しました。中小企業ならではの現場で、生産技術の知識を活かしながら改善活動を推進し、マネジメントにも携わる中で、より多岐にわたる技術的スキルと、変化に即応する柔軟性が磨かれました。この経験は、彼の技術者としての幅を広げ、後にzenschoolで多様な背景を持つ参加者と向き合う際の、共感力の源泉となったはずです。

さらに彼のキャリアにおける重要な転機が、中小製造業支援を行うITベンチャーでの2年間です。ここで彼は「生産技術や調達を統括するスタッフ」として、試作品製造先の選定や部品調達といった営業支援業務に従事しました 。町工場のデータベースに関する知見を深め、大企業の購買部門と町工場をつなぐ技術商社のような役割や、品質保証の重要性を学びました。これは、彼の持つ生産技術の知識を、中小企業のビジネス支援という形で活かす、新たな挑戦でした。そして何より、この場所で彼は生涯のパートナーとなる三木康司と出会うのです。

宇都宮のキャリアパスは、単に長いだけでなく、その「幅」にこそ特筆すべき点があります。大企業での大規模量産、町工場での試作・小ロット生産とマネジメント、そして中小企業支援ネットワーク。この製造業のバリューチェーン全体を俯瞰するような経験は、彼にモノづくりのあらゆる側面に対する、比類なき全体観を与えました。大企業の論理から町工場の現実までを知るこの経験こそが、後にzenschoolで様々な規模や立場の参加者に寄り添い、的確なアドバイスを可能にする基盤となっているのです。

この中小企業支援ベンチャーでの三木氏との出会いは、単なる偶然ではありませんでした。IT分野に強みを持つ三木が中小企業のデジタル化やネットワーク化を推進する一方で、宇都宮は製造現場の物理的な現実、部品調達といった具体的なモノづくりのプロセスを支えていました。二人の専門性は補完関係にあり、この連携を通じて、内なる情熱(当時、三木が禅を通じて探求していたテーマ)と、それを形にするための実践的な製造ノウハウを結びつける必要性を、共に感じ取ったのかもしれません。それこそが、後にenmonoが提唱する「マイクロモノづくり」、そしてzenschoolの根幹をなすアイデアの萌芽だったのではないでしょうか。

3. enmonoの閃光:エンジニアリングとビジョンの邂逅

2009年11月11日、宇都宮と三木は前職のITベンチャーを離れ、共に株式会社enmonoを設立します。その根底にあったのは、「誰もがメーカーになれる、『マイクロモノづくり』の概念を普及する」という共通のビジョンででした。ちなみに社名のenmonoは、人のご縁(en)でモノ(mono)づくりする、から来ています。それは、個人や中小企業が、自らの情熱に基づいて創造性を発揮し、イノベーションを草の根から生み出す世界を目指す挑戦でした。

enmonoにおける二人の役割分担は、それぞれの専門性を活かした、自然な形となりました。三木がCEOとしてビジョンを描き、禅やマインドフルネスの要素を取り入れながら全体戦略を練る「Why(なぜ)」の探求者であるならば、宇都宮はCTOとして、そのビジョンを技術的にどう実現するか、製造プロセスをどう構築するかといった「How(どうやって)」を追求し、アイデアを現実に根付かせる実践者です。これは単なるビジネス上の役割分担ではなく、互いの強みを最大限に活かし合う、強力なパートナーシップと言えるでしょう。

enmonoが初期に掲げた「マイクロモノづくり」というコンセプトは、後にzenschoolで展開される、よりホリスティックなアプローチへの重要な架け橋となりました。「本当にやりたいコト」を起点とする点は共通していますが、宇都宮の持つ製造業への深い知見があったからこそ、このコンセプトはソフトウェアやデジタルサービスに留まらず、物理的な「モノづくり」においても確かな説得力を持つことができたのです。彼が「Monozukuri(モノづくり)」の部分を堅牢にしたからこそ、後にzenschoolが「True Innovation®」として内なる旅路をより深く統合していく道筋が拓かれたと言えます。

4. 哲学:魂を込めたモノづくり、構造を持ったイノベーション

宇都宮のモノづくりに対する哲学は、単なる技術的な効率追求ではありません。彼の言葉や活動からは、創造主の「情熱」や、人と人との繋がり、大阪出身 である彼ならではの温かい人情味が、物事を前に進める上で重要であるという考えが垣間見えます。純粋に論理的なエンジニアというステレオタイプとは異なり、彼は個人の内なる意味を引き出すことに重きを置いているようです。

彼の持つ実践的で地に足のついたエンジニアリングの視点は、三木が提唱する「True Innovation®」を補完し、実現可能なものにしています。True Innovation®は内なる声から始まりますが、宇都宮が提供する構造的思考と実践的なノウハウがあってこそ、その内側から生まれたアイデアが現実世界との接触に耐えうるものとなるのです。彼は、「やりたい」という想いを「どうやるか」という道筋へと繋げる存在です。

近年注目しているVR/メタバース 5 やAIといった新しい技術に対しても、彼はそれ自体を目的とするのではなく、人々の繋がりや創造性を促進し、人間の可能性を実現するための「ツール」として捉えています。彼の技術的背景は、テクノロジーが本来のミッション達成のために、実用的に活用されることを保証します。

根底にあるのは、持続可能なイノベーション、特にモノづくりにおいては、深い個人的な情熱と、厳格で実践的な実行力の両方が不可欠であるという信念でしょう。彼のエンジニアリングの経験がもたらす「プラグマティズム(実用主義)」が、zenschoolで発見された「パッション(情熱)」を現実に飛翔させる翼となるのです。彼は、魂が宿るための、実行可能な「身体」を設計する役割を担っていると言えるかもしれません。

5. enmonoのダイナミズム:二人の創業者、一つの目的

三木の内なる旅へのフォーカスと、宇都宮の具体的な実現へのフォーカス。この二つの力が、zenschoolという場でどのように作用し合っているのでしょうか。それは、参加者一人ひとりの変容プロセスの中に見て取ることができます。三木との対話やマインドフルネスの実践を通じて、参加者は自身の「生きがい」や本当にやりたいことの核心に触れます。そして、その熱い想いを胸に宇都宮の元へ向かうと、今度はその情熱を具体的な事業コンセプトへと構造化し、実現可能性を探るプロセスが始まります。

以下の表は、enmonoおよびzenschoolにおける、二人の創業者それぞれの特徴と役割をまとめたものです。

この表が示すように、二人は異なる背景とスキルを持ちながら、見事に互いを補完し合っています。三木が内側から「何を」「なぜ」やりたいのかを引き出し、宇都宮がそれを「どうやって」実現するかの道筋をつける。この両輪があってこそ、zenschoolは単なる自己啓発ではなく、具体的なイノベーションを生み出す場となり得るのです。バックグラウンドは異なりますが、enmonoとzenschoolでの長年の協働を通じて、イノベーション、情熱、そしてモノづくりに対する共通言語を育んできたことは、共著『マイクロモノづくりはじめよう ~「やりたい! 」をビジネスにする産業論~』 などからも伺えます。

6. 結論:内側から未来を築く、専門家の確かな手と共に

宇都宮茂。彼は、zenschoolで灯された内なる情熱の火花を、触れることのできる現実へと変える、不可欠なエンジニアです。彼は「どうやって」の達人であり、情熱が確かな形を見出すための水先案内人なのです。

もし、あなたの中に形にしたいアイデア、実現したい情熱、世に問いたい何かがあるのなら。宇都宮(そして彼が体現する方法論)は、それを達成するための実践的な道筋を示してくれる存在です。zenschoolは、彼のような専門家の確かな手によって、あなたの内なる可能性を現実のものとする場所なのです。

zenschoolの哲学は、内なる発見(三木の領域)と、具体的な創造(宇都宮の領域)の融合にあります。それこそが、真に意味のあるイノベーションと、充実した仕事や人生への道筋なのです。enmonoが掲げる「ワクワクするモノづくりで世界が元気になる」 という理念は、まさにこの二人の創業者によって体現されていると言えるでしょう。

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